理事長あいさつ

 
 
 理事長就任にあたり一言ご挨拶申し上げます。

 私たちは、我が国の医学生物学を中心とした生命科学の隆盛を根本から支える学術団体であります。適正な動物実験による再現性の高い実験結果を得るために、実験動物の一番近くにいるのが私たち実験動物技術者であります。
 一般社団法人日本実験動物技術者協会は、その前身である日本実験動物技術者懇談会として1966年に組織されました。1975年には日本実験動物技術者協会として改称・改組し、さらに2017年には一般社団法人として法人格を取得し、半世紀以上もの長きにわたって全国的に活動を展開してきました。
本協会の特徴は、全国を地方ごとに7支部に分割し、それぞれの支部が講演会、講習会、学習会、実技講習会、その他支部独自の事業を積極的に展開し、関連技術の改良・開発はもとより、若い技術者への教育研修にも力を入れています。
 年1回開催される学術集会(全国大会)は、全国各地持ち回りで開催され、一般演題を始め、特別講演、シンポジウム、セミナー、機器展示などのイベントには600名以上の参加者があります。学術機関誌「実験動物技術」は年2回の発行、協会の情報誌「広報」は年1回発行され、会員の皆様の知識・技術の情報源となっています。その他にも各支部から配布される情報や印刷物など、協会全体と所属する支部の両者から情報が会員に届きます。

 実験動物を管理するためには、それぞれの動物種の生理・生態(生物学)を熟知し、実験動物の環境を統御する空調機や飼育器材等にも精通し、微生物学的・遺伝学的に統御された実験動物を管理しなければなりません。そのためには実験動物学を中心とした基礎知識が必要です。精度の高い、再現性の高い実験結果を得るための基礎学問が「実験動物学」であれば、その学問の応用が「実験動物技術」であると私は考えています。
 実験者(研究者)は、そのほとんどが実験動物技術者と協調して、または実験動物技術者の指導や協力の下に動物実験を行います。実験動物技術者は、その知識や技術を最大限に発揮して実験動物の飼育管理、術後管理、実験処置等を実践することにより、精度の高い実験結果が得られるのです。私たちの存在はまさにそこにあります。

 「人間を対象とする医学研究の倫理的原則」いわゆる「ヘルシンキ宣言」全35項目の第12項には、「人間を対象とする医学研究は、科学的文献の十分な知識、関連性のある他の情報源および十分な実験、ならびに適切な場合には動物実験に基づき、一般的に受け入れられた科学的原則に従わなければならない。研究に使用される動物の福祉は尊重されなければならない。」と動物実験の必要性が書かれています。このことは、ヒトを対象とした医科学分野の研究のみならず、全ての生物を対象とした実験研究にも言えることです。私たちは、動物実験における国際的基本理念である「3Rの原則」に基づき、適正な動物実験を実践して行かなければなりません。
 それと同時に、まだまだ解明されていない未知の事象に対して「動物実験」を用いて解明しなければならない研究が山ほどあると私は考えます。そして、その解明を待望する方々が数多くいらっしゃると考えています。
 本協会は、実験動物における豊富な知識や動物実験に対する適正な技術をもって、我が国の生命科学研究の進展に今後も貢献していきたいと考えています。



 2018年11月26日

一般社団法人日本実験動物技術者協会 
理事長 伊藤恒賢