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花粉症の急増農薬も一因 動物実験で突き止める
 

 杉花粉によって起こるとされているアレルギー性結膜炎の発症に,農薬やたばこの煙など身の回りの化学物質が関係している疑いが強いことを北里大医学部の石川哲教授,難波竜人講師のグループが動物実験で突き止め,24日,岡山市で開かれた第94回日本眼科学会で発表した。
 これまでアレルギー性結膜炎など花粉症の患者数は,杉花粉の発生量に必ずしも比例しないことが知られていたが,今回の研究は最近の患者急増のなぞを解くかぎになりそうだ。
 実験は,まず杉花粉に対する抗体ができた血清をモルモットに注射して,花粉症にかかりやすくした。その上で,有機リン系殺虫剤(トリクロロホン,フェニトロチオン)や除草剤パラコートを皮下注射したグループと,たばこの煙を毎日30分,5日間連続して吸わせた場合のそれぞれに杉花粉を点眼して結膜炎がどのようになるかを調べた。
 その結果,トリクロロホンを投与した場合,モルモットの致死量の数百万分の1(体重1キロ当たり千分の1mg)で,結膜の血管から漏れ出す液体成分の量が,化学物質を投与しないグループに比べて3〜5倍に増え,炎症が悪化することが分かった。他の農薬やたばこの場合も同様に症状がひどくなった。
 有機リン系殺虫剤は低毒性とされ,100種以上が生産されるなど合成殺虫剤の主流となっている。難波講師は「実験でモルモットが受けた程度の殺虫剤やたばこの濃度は,日常生活の中で人も十分接触し得る。花粉症の急増に,これらの化学物質が関係している疑いは強い」と言っている。

(1990年5月25日 山陽新聞)